スポーツで脱水する前に知らないとダメ!水分補給の記事【栄養士監修】
スポーツ栄養に特化したしつもん箱「食べカツ」の質問Vol15です。メルマガ読者さまからの質問を掲載しています。今回はスポーツする時の水分補給について「ノブさん」から質問をもらいました!
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水分補給についてのスポーツ栄養士の見解は?
梅雨があけて本格的に暑くなりました。これから特に脱水、熱射病対策が大事ですね、南部先生は、水分補給のタイミングやスポーツ飲料のとりかたについてどんなふうに、お伝えでしょうか。
また、スポーツ飲料は薄めてはいけないという意見が、あったり1時間以内の練習ではお茶、水でかまわないという意見があります、では薄めのスポーツ飲料もありではないでしょうか?
宜しくお願いいたします。
ノブさん
ノブさん、質問有難うございます!
暑い日が続きますね。体調を崩されないようにしっかりと水分補給されてくださいね!
さて、水分の取り方についてです。今回は結構マニアックな話になります! その分、初めて聞く人は「えっ!? そうなの??」ってなるかもしれません。
どの季節もそうですが、特に夏場はよくよく理解するためにこの記事をなんども読み返しください。意外に感じるかもしれませんが、水分とパフォーマンスはかなり影響します!
スポーツ栄養のしつもん箱 食べカツとしての回答
≫これから特に脱水、熱射病対策が大事ですね、南部先生は、水分補給のタイミングやスポーツ飲料のとりかたについてどんなふうに、お伝えでしょうか。
まず最初に、「喉が乾いてからでは遅い」と言うことが大前提にお話ししていきます。
このあとには水分については、何を目的に飲むか? を理解してもらっています。
例えば、
エネルギー補給のためには
アクエリアス、ポカリスエットなどのスポーツドリンク
(甘めの味付け)アイソトニック系の飲料と言います。
水分やミネラル補給には
アミノバリュー、アミノバイタルなどのスポーツドリンクもしくは麦茶
(薄めの味付け)ハイポトニック系の飲料と言います。
このように用途によって違うことを説明しています。
どうしてもエネルギーが必要な環境では上のもの(エネルギー)を勧めますが、基本的は下のもの(水分、ミネラル)を勧めます。
あと、できることなら練習前と練習後の体重測定もしてもらいたいですね。
自分の体重の2%以上が減っていると明らかな脱水です。
例、体重50kgの人なら1kgの体重減少。
もし測るのが難しい環境なら
練習後に水を飲んでみる。
一気に汗が吹き出すようなら脱水状態(練習中に水分が少なすぎると汗が出せません)
「一気に汗が出て気持ちいい」ではなく、脱水症状です。
また、練習後の尿の状態でも判断できます。
脱水の場合
色が濃い、少量
適正
色が薄い or 透明、多量
こういったところで判断できるので数字も大事ですが、自身の感覚を鍛えてください。
タイミングについてはこまめな水分補給
できるだけ30分おきくらいに飲んでもらいたいです。量は、「ごく、ごく、ごく」と喉を3回鳴らす程度でOKです! あと練習や試合が終わったらしっかり飲んでください。
スポーツドリンクは薄めない方が良い
≫また、スポーツ飲料は薄めてはいけないという意見が、あったり1時間以内の練習ではお茶、水でかまわないという意見があります、では薄めのスポーツ飲料もありではないでしょうか?
諸説有りますが、ぼくなりの見解です。
原則、スポーツ飲料は薄めず、各メーカー指定の濃度にしてください。
薄めてしまうと、その分必要な栄養素をとるには必要以上の水分がいります。(飲んでも飲んでも
栄養素が足りない状態になってしまいます。)
塩分がなくなる脱水はまずい
少しマニアックな話(重要です!)をすると脱水には2種類あります。
水分が足りなくなる脱水(高張性脱水)
単純に水分が失われた状態
塩分が足りなくなる脱水(低張性脱水)
水分と一緒に塩分が失われた状態。汗の量が多い場合だと特にこちらになりやすいです。
この脱水の危険なところは、この状態で水分だけ飲んだとしても塩分が回復されていないところです。
「水を飲んだのに体調がよくならない」
と言うのは体の中で塩分が足りていない状態です。
結論を言うと
短時間の練習でも塩分を含むスポーツドリンクを飲むことをお勧めします。最低でも「麦茶+塩」をひとつまみなめる! くらいを用意してあげてください。
もしも、規定の濃度で喉のつっかかるようならスポーツドリンクを飲んだあとに水を一口で良いんで飲んでください。それが効果的なスポーツドリンクの飲み方です。
スポーツにおける水分補給についてのまとめ
ここまでがガイドライン的な話でした。
- 水分をとる目的によって飲むものが変わる。
- どれくらい水分が失われるとまずいのか?
- 脱水には2つの種類があり、塩分低下が特にまずい。
このような話をしていきました。そして上記の理由でスポーツドリンクは規定の濃度を保つことをお勧めしました。
食事からも水分をとる
さらに最後に一点伝えるとしたら、「3食の食事からもしっかり水分をとろう!」です。
朝からしっかりと水分を含む食事をしていると練習中でもそんなに水分をとらなくてもよくなります。
例、ごはんと食パンでは水分量が違います。
ごはんの方が1.6倍ほど多く水分を含みます。
どちらの方が水分を保ってくれるかがわかると思います。 結局、しっかりごはんを食べろってことです。
PS.水分の取りすぎでごはんが食べられない。
ぼくも夏場にバスケ サークルで2時間ほどバスケをした時の話です。脱水の実験のため(こじつけ 笑)スポーツドリンクを持ち込まず、体育館に設置されている冷水機の水だけ飲んでいました。
するとどうでしょう? 汗は滝のように流れています。これはいかんと思い、なんどもなんども水を飲んでいました。さて、今回の記事を読んでくれたあなたはならこのあと南部がどうなったかわかるでしょう?
そう、塩分不足による脱水です。なんども飲んでしまったので汗で塩分は出て行くけど補給されない。水は足りているけど、塩分がないので体調は優れない。
趣味程度のレベルなんで大事には至っていませんが、結果としては走るのがだるく後半バテバテでした。
そして、バスケ 終了後の食事が喉を通らず、寿司4皿と言う結果を残してしまいました(女子力高し!)塩分をしっかりとれていればこのように水をガブガブ飲むこともなかったかもしれません。
ここでの教訓はこうしてブログや食サポートで活かされます。やっぱり、スポーツ栄養を語るなら自身がスポーツをしていないと選手の状況はわかりません。
「指導者こそ実践者たれ」
参考文献:寺田 新 スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる 東京大学出版会2018年 第3刷
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