成長期に対するスポーツ栄養のポイント 【鈴木志穂子さんの講演】
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スポーツにおける栄養管理の重要性〜公認スポーツ栄養士の役割とは〜
こんにちは、食べるシセイを良くする”楽しい栄養士”の南部です。 初めての方は ≫こちらをご覧ください
公認スポーツ栄養士の鈴木志保子先生による講演会がありました。内容をまとめていますので、スポーツで結果を残すため食事に目を向けている時に是非ともお読みください。
オープニングトーク
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東京マラソンサポート選手の話
マツダ 山本賢治
2時間8分 有言実行の人間
設楽選手
日本記録更新
2人ともオリンピック出場の可能性あり。
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トレーニングによって食べ方を変える必要がある。食べ物によって数値、体調が変わることを選手はまだまだ知らない。
食に向き合うことは自分に対しての投資(自分の体に対して)
鈴木先生はサポートに入るときに言う言葉があります
「私は勝つためにサポートに来ています。」
一般の人が思う、スポーツ栄養士のイメージ
・食事の献立のみ?
→ マネジメントが仕事
献立は業務の一部
例えばこんなマネジメントをします。
= マラソン選手 =
ボトルを2つ持たせた。
これは、30km地点でガス欠にならないために糖質のもの(企業秘密の糖の調整)
もう1つが口の中のネバつきを防ぐ水
トップアスリートの食べ方。
たくさんスポーツするとたくさん食べなければいけない。
①食べる量には限界がある
胃の容量、これはいきなり増えたりすることはない。
②運動中は交感神経が優位になり、消化吸収が抑制される。
口から、肛門までの消化管がフリーズする。
③運動時間が長くなると化吸収を効率よく行う時間は短くなる。
運動しているときは消化吸収能力が落ちる。
食べる量と、運動量のギャップを埋めることが栄養サポート
食べる量の限界が決まっているとしたら。何を優先して食べるのか?
ビタミン、ミネラル?
実はマルチビタミンを飲めば、親指に頭ほどの大きさで補うことはできる。
カロリー
カロリーはどうしても足りない。カロリーが一番難しい。カロリーを調整ができない場合は最悪、油を飲むと言うことをしないといけない。
これは、食事を楽しむと言う概念から大きく外れてしまい、現実的ではない。(くれぐれも真似しないようにしてください。)
野菜・海藻
ビタミン、ミネラルは入っているけどカロリーが少ない。
サプリメント
サプリメントを飲ませてまで練習をさせるのか?
→公認スポーツ栄養士はサプリと向き合う必要がある。(成人アスリートの話)
ここまでが、成人アスリートに向けた話です。
成人の場合は体の成長期が終わっているので、このような栄養摂取をする場合がある。ここから下が成長期のアスリートたちに対しての話なので面白くなります!
今回の話はジュニア選手、女子選手の話がメイン
ジュニアの話
サプリを食べさせてまでの練習をさせてはいけない。
「3食、捕食で補えるだけの運動量にする。」これがジュニアに最も大切な話。
運動の質を落とす必要はないが、量は調整が必要。サプリメントを使うまでしていると将来に響く怪我のリスクが高まる。
文科省のデータから見る日本人の発育発達。
祖父母世代の背が小さいが親世代と子供世代の背は同じくらい。
ここからわかるのは発育のピーク(二次性徴)
・祖父母世代(ピークが中学生)
・親世代、子世代はピークがまだら(成長ピークの個人差が大きい!)
さらに言うと、現代人は年齢による運動量の統一はできない。(学年割りの指導はアウト)成長のピークの選手に練習させすぎるとよくない。成長阻害が起きる。
ジュニアアスリートのエネルギー摂取の考え方。
正しい考え方
1、生活のためのエネルギー量
2、発育・発達のためのエネルギー量
3、運動のためのエネルギー量
発育発達を無視した考え方
1、生活のためのエネルギー量
2、運動のためのエネルギー量
3、発育・発達のためのエネルギー量
または
1、運動のためのエネルギー量
2、生活のためのエネルギー量
3、発育・発達のためのエネルギー量
※運動をしていない人は食べる量の調整が必要な場合がある。
成長のバロメーターとして活用できるのは下記のソフト
女子用 スラリちゃん、Height!
男子用 ヘルスメイト
これらのソフトを活用すること上での指導者の考え方が変わる。
練習量の変化を選手ごとにしていけるようになる。
質を変えるのではなく、量を変える。
まさに指導者の質が問われるようになります。
※ソフトを使わない場合の身長の予想には下記の公式があります。
男子{父の身長(cm)+母の身長(cm)+13cm }/ 2 + 2cm
女子{父の身長(cm)+母の身長(cm)ー13cm }/ 2 + 2cm
これで統計学的に見た身長の予測ができます。(あくまでも統計学なので大き外れる可能性もあります。)
鈴木先生はジャスト姉は169、妹161
ちなみにぼくの結果は163cmでした(実際の身長-6cm!)あくまで統計学ですが、1つの予測としてお使いください。
栄養状態を解析するとエネルギー不足が引き起こる状況が起きる状況が見えてくる。
エネルギー不足=死にいきなりはならな。そして、少ないエネルギーでも動ける状態を作ってしまう。(省エネ体質)
特に不足するものを紹介します。
血液(男女共同)鉄欠乏
3つのポイント
①ヘモグロビンには酸素が多くくっつくために
②ヘモグロビンをつくるにはエネルギー消費が大きい。
③成長する筋肉を作る時に鉄はヘモグロビンよりもミオグロビンに使われる。
※ヘモグロビンは鉄を全身に運ぶ物質、血液中にある。
発育発達は金太郎あめのように細く伸ばすのではない。鉄だけで改善と思い込むが、エネルギーが足りない場合がある。貧血は休ませると改善するが、また練習を開始するとすぐに発症。
要するに、全て満遍なく栄養素が必要ということ、その大前提としてエネルギーが足りていることが必須。
骨(男女共同)
骨密度、骨強度の低下。エネルギー不足により起きる。
成長期の疲労骨折はエネルギー不足?
骨の内部を作ってくれる職人を多く働かせるにはエネルギーが必要。エネルギー不足になるとスカスカな骨になる。もしくは骨が伸びない。昔は新美形のスポーツがなりやすかった。
今は運動量の多いスポーツならどれでもありうる。
しかし、すべての選手ではない。単純にエネルギー不足。
人間の体は繊細にできている。
一度エネルギー不足を感じてしまうと、体は敏感に用心してしまうようになる。結果、極端な省エネ体質になる。だからこそ、スポーツ栄養士は選手のエネルギー不足に細心の注意が必要である。
内分泌(女性)
下垂体ホルモン、性ホルモンの低下。視床下部性無月経。
このエネルギー状態で子供を産めないと体が判断する。エネルギー不足による初経が起きない状態
15歳になっても来ない場合は治療が必要(婦人学会)
・初経の早熟化
・晩熟化(スポーツ、ダイエットによる弊害)
この2極化が起きている。発育発達に合わせて大人がコントロールしてあげる必要がある。
以上の3つが特に不足しやすく、パフォーマンス低下や成長の阻害に繋がります。結局はエネルギーが足りないと言う部分が多いです。
さらに一般的によく知られている朝ご飯を食べないことを鈴木先生の視点で話されます。
全ての年代に言える。スポーツ栄養から見た、朝食欠食のリスク
1、生きるための栄養素が足りなくなる。
2、常に新陳代謝が起こるため、エネルギー、栄養素がいつ、どこで使われるのかわからない。
だからいつでも材料を提供してあげる必要がある。
例えば、新陳代謝(体の作り変え)が予告制なら、あなたはどうでしょう?
今日の夜に目の細胞が作り変えられます。朝ごはん一食分のエネルギーが無いと、目が70%しかできません…
”絶対にしっかり食べるでしょう?”
「3日間バランスよく食べていないと死んじゃうくらいだとみんな食に向き合うのに…」と鈴木先生は大きな声でボソッとこぼします(笑)
※ちなみに新陳代謝が起きない部位は爪、髪、歯です。
スポーツする人ならみんな知りたい筋肉の作り方(イメージ)
上腕二頭筋を10回建てのビル100棟と考えます。
1棟を作りかえることになった。
まずは解体工事(エネルギーが必要)
・トラクターの燃料
・職人の燃料
鉄筋、鉄骨がミネラル
壁などコンクリがタンパク質
それを作るには職人にエネルギーが必要。
※人間にとって主要なエネルギーになるのが糖質と脂質。その材料をエネルギーに変えるのがビタミン、ミネラル。タンパク質はエネルギーに変えるのに時間がかかる。
とは言っても、人間のタンパク質は70%が再利用される。ビタミンの作り変えには2日くらいある。
だから、前の日に食べていると作りかえることはできる。しかし、この状態で作り変えをすると7階建てビルができる。100棟ある中で1棟が7階建てくらいだと気づかない。それくらいわかりにくい。
100棟ある中で1つだけ7階。(階数でいうと 997/1000階になった。0.3%です。)それくらいわかりにくいです。
ただ、これが毎日積み重ねられていくと…確実な筋力不足を起こしますさらに言うと、毎朝たべてなければ、感染症のリスクがある。毎日損している。
具体的な損失
朝ごはんを食べていると睡眠にも影響する。
・日中セロトニンの分泌(気分が前向きになる)
・夜メラトニンの分泌(睡眠ホルモン)
ちゃんと食べてないと一週間後にちゃんと風邪ひきます!ためてしてみてください、ちゃんと食べないと3日で弱って一週間でちゃんと体調崩します。
忙しかったから風邪ひいた?
忙しくて食べてないから風邪引く。(プラス寝ていない)
根本の原因は忙しいことではない。食べてないことが原因。
筋肉の細胞を作るのにもう1つの秘密。
刺激がなければその強度の筋肉しか作らない。
いくら栄養状態が良くても、100%の筋肉は作られない。骨もおなじである。
骨強化のための質問。
「最近一週間でしっかりとしたジャンプした人がどれだけいる?」
ジャンプしている人は今の状態の骨を維持できる。していない人は前以下の骨ができる。
サルコペニア、エネルギー不足、刺激不足。
スポーツ栄養士が語る筋トレの話
筋肥大について大胸筋を例にイメージをお伝えします。
大胸筋を家として考えます。
・筋トレによる筋肉痛は屋根にあなが開く状態
・そこにシート(薄いタンパク質の幕)をかぶせてペンキ塗る
・↑の作業をなんども繰り返してベニヤ板を敷いて行く。
これを繰り返して行くと筋肉が大きくなる。
筋トレにおける子どもと大人の違い
子どもの場合
新ビル建設ラッシュが起きる
まさにバブル
階層は少ないけど、ビル数はどんどん増える。
※筋肉はそこまで大きくないけど、細胞の数自体は増える。(土台ができていく)
このとき体重1kあたりで考えると、すごい量を食べさせないとビルができない。
最後に伝えるバランスの良い食事とは?
エネルギー量や栄養素に対してはぴったりかどうかはわからない。
・身体活動
・環境
・心理面
・消化、吸収
これらの条件が複雑に絡み合っているので正確にはわからない。さらに消化吸収の筋肉は自分で調整できない。
だから、健康診断の結果は病気を診断するのではない。入りと出のバランスを自身で理解するためにある。
1日のタンパク質を食べる量について
筋肉中のタンパク質20%くらいしかない
一般
0.8g/kg
例、60kgの人なら48gのタンパク質を食べる。
持久力トレーニング(1時間以上)
1.2〜1.4g/kg
一般人よりも多いのは1時間以上のトレーニング中にタンパク質がエネルギーとして使われるから。
高強度なトレーニング(筋トレ)
1.4~1.7g/kg
2kg以上は過剰摂取。
取りすぎには気をつけてください。世間のお父さんは外食でお肉をいっぱい食べていますね?でもお腹をみるとタンパク質を多く食べてるといいわけでないことがわかりますね?
エネルギーを燃やす
身体活動とロウソクのイメージ
芯は糖質
ロウは脂肪
火は運動に必要な熱量。
カナダのスポーツ栄養で発表されたことでアスリートとして糖質制限した例でパフォーマンスアップの効果はない。
日本一楽しい栄養士南部真也によるまとめ
鈴木先生の話を聞くのはかれこれ3回目です。
単純に面白いですね。マシンガントークで会場を盛り上げて、時折ボソッと歯に衣着かせぬ話術は流石の一言です。その中でスポーツ栄養として押さえておかなければいけないことが山ほど入っています。
個人的には筋肉の作り方の例え話がためになりました。これからもサポート選手たちに伝えていきます。
ただ、今回の話はスポーツ懇話会と言う会場だったので結構専門的な話が多く、一般の人には少し難しいかもしれません。この記事自体も忘備録としての残しているのでわかりにくい項目があれば、お問い合わせフォームもしくはメルマガへの返信でご質問ください。※メルマガ読者へ優先してお答えします。